アジャイル開発と聞けば、それはシステム開発の手法で、多くのビジネスマン(つまり、開発者以外)は関係ないことと考えるかもしれない。ただ、このアジャイルという考え方は、現代ビジネスにおいて非常に重要な考え方であり、学んでおいて損はない。
ちなみに、アジャイル開発は、変化に対応しながらシステム開発をすすめる手法であるが、具体的な手法はいくつかある。
このアジャイル開発の一つの手法である「スクラム」は今注目を集めている開発手法だ。しかし、この「スクラム」はもともとはシステム開発の手法ではなかく、製品開発の手法であった。それを基にシステム開発に適応したものが現在、良く語られているシステム開発手法としての「スクラム」である。
もともとの「スクラム」は、日本が誇る経営学者の一人である野中郁次郎氏(現一橋大学名誉教授)、そして、竹内弘高氏(現ハーバード大学ビジネススクール教授)が1986年にハーバード・ビジネス・レビューで発表した論文"The New New Product Development Game(新しい新製品開発ゲーム)"の中で述べられている「スクラム」が語源だ。
この論文は、日本企業の新製品開発の手法を解説しており、多機能なファンクションのチームが大部屋などに集まり1つの課題に向けて製品開発する様を「スクラム」と読んだところから来ている(尚、このスクラムはラグビーのスクラムからとのこと)。
この「アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント」では、システム開発のスクラムと、1986年に発表された新製品開発の手法としてのスクラム両方に触れながら、現在のインターネット企業でどのようにアジャイル開発が行われているかを解き明かした名著である。
開発者ではなくとも、変化に対応しながら物事を進めていくことが重要なすべてのビジネスマンにおすすめのビジネス書である。
■ 発売日
2013年発売。