経営戦略本

経営戦略書:おすすめの古典的ベストセラー 10冊

世の中に経営戦略について解説したビジネス書、つまり、経営戦略書は数えられないほど存在する。流行りもあるが、ビジネスマンとして重要なのは、その中で、古典とも言えるロングセラーなビジネス書。これを最新のベストセラーを交えながら10冊に厳選した。

ルールとして、同じ著者のものを複数選出しないというのを考慮してある。これは、より広い意見の経営戦略書に触れるという視点からであり、ビジョナリーカンパニーのようなシリーズ化している経営書では、その中で一番おすすめなものを記載した。

このおすすめ経営書のリストは、初版が古いのもの順(原著があるものは原著の初版)に並べている。古くから今も読み継がれている古典こそが良書だというコンセプトだ。

どの本もベストセラーなため皆さんもよくご存知かもしれない。最後にまとめ的な1冊も紹介したい。

10冊の経営書ベストセラー・必読の名著リスト
1冊目:マネジメント[エッセンシャル版] / マネジメントは一体何か?
著者:ピーター・ドラッカー / 初版発行年:1974年
原著:Management: Tasks, Responsibilities, Practices

日本で、もっとも人気の高い経営学者の一人であるピーター・F・ドラッカー。その代表的な著作でもあり、もっとも人気がある経営書である「マネジメント」は、企業活動の目的や組織、そして、マネージャーのあり方など、ビジネス全体的に基本的な原則を解説した古典的なビジネス書である。

今回紹介してるのは、そのエッセンスを要約したエッセンシャル版である。これで、まずは、個別のビジネス戦略について理解を深めるために、基礎的なマネジメントとは一体何かをこの本で考えたい。

詳しい書評は「マネジメントとは何か? – マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則」を参考にしてほしい。


2冊目:〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略 / ファイブフォース分析とはなにか?バリューチェーンとはなにか?

この本は、以下の二つのマイケル・ポーター氏の本をまとめたものである。

競争の戦略
著者:マイケル・ポーター / 初版発行年:1980年
原題:Competitive Strategy
競争優位の戦略
著者:マイケル・ポーター / 初版発行年:1985年
原題:Competitive Advantage

とにかく、経営戦略について興味がある人なら、マイケル・ポーター氏に関して興味がないということはないだろう。

ハーバード・ビジネス・スクールの教授であるマイケル・ポーター氏は、数多くの経営分析フレームワークを提唱したが、その中でも特に有名なのは著書「競争の戦略」で提唱した「ファイブフォース分析」と著書「競争優位の戦略」で提唱した「バリューチェーン」であろう。

「ファイブフォース分析」は、企業における外部環境を分析しその競争力を判断するための分析方法だ。その内容は5つの競争要因
・ 競合している企業同士の敵対関係
・ 新規参入の脅威
・ 代替品の脅威
・ 顧客の交渉力
・ 供給者の支配力
という視点に基づき分析を行う。

競争優位の戦略」で提唱した、バリューチェーンというフレームワークは、原材料の購買からさまざまなステージでバリュー(付加価値)を加えていくということが企業活動であり、それが関連していることからバリュー(価値)+チェーン(連鎖していく)という名称を与えられている。

そして、このバリューを加えていくプロセスにおいて効率を上げることで競合他社との差別化を測ることができる。

しかし、マイケル・ポーター氏のそれらの経営書は、名著中の名著であるが、非常に難易度が高いのも事実。

そこで、マイケル・ポーター氏の様々な企業戦略フレームワークを簡単に解説している経営書をお薦めしいたい。それが「〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略」である。とにかく、マイケル・ポーター氏の「競争の戦略」も「競争優位の戦略」は、大著すぎる。まずは、エッセンシャル版から始めるのはいかがであろうか?

尚、著者は、マイケル・ポーター氏ではなく、ジョアン・アグレッタ氏。氏は、ハーバード・ビジネス・スクール競争戦略研究所の上級研究員である。マイケル・ポーター氏は、ハーバード・ビジネス・スクールの教授である。


3冊目. エクセレント・カンパニー / すごい企業の8つの特徴
著者:トム・ピーターズ、ロバート・ウォーターマン / 初版発行年:1982年
原著:In Search of Excellence

優れれた企業を研究し、その共通項には何があるか?というテーマでベストセラーになった古典的ビジネス書、経営書。世界的で最も著名な戦略コンサルティング会社マッキンゼーのコンサルタントであったトム・ピーターズ氏とロバート・ウォーターマン氏によって執筆され、世界的なベストセラーになったビジネス書である。

この本によると8つの共通点が解き明かされている。詳しくは書評「エクセレント・カンパニー すごい企業の共通点とは何か?」を参考にしてほしい。


4冊目:学習する組織 / 学習機能を持った組織が勝つ
著者:ピーター M センゲ / 初版発行日:1990年
原題:The Fifth Discipline: The Art and Practice of the Learning Organization

組織戦略論の古典的な名著。学習する組織という考え方を世の中に広めた。この学習する組織とは、個人と組織双方の継続的な学習が起こる組織である。そのような組織には、システム思考、自己マスタリー、メンタルモデル、共有ビジョン、チーム学習という5つ要素があるという。

組織開発に携わる人にはおすすめを超えて、必読といえる経営書ではないか?


5冊目:知識創造企業 / 知識を創造しろ
著者:野中郁次郎、竹内弘高 / 初版発行年:1995年
原著:The Knowledge-Creating Company: How Japanese Companies Create the Dynamics of Innovation

知識を単に処理するだけでなく創造する企業が競争力が高いとする「知識創造企業」では、日本的な組織の中でなぜ知識が創造されるかを解き明かした名著である。

尚、著者の一人である、野中郁次郎氏は、今なおベストセラーをである旧日本軍の組織的な失敗を解き明かした「失敗の本質」の共著者の一人であり、日本的な組織の限界点についての見識も深い。その野中氏だからこそ、日本的な組織についても説得力がある解説がされている。

詳しい書評は「なぜ日本企業は強いのか、それは知識創造企業だから」を参考にしてほしい。


6冊目:プロフィットゾーン経営戦略 / 儲かるビジネスとは
著者:エイドリアン・J. スライウォツキー、デイビッド・J.モリソン / 初版発行年:1997年
原題:The Profit Zone: How Strategic Business Design Will Lead You to Tomorrow's Profits

数々の利益が出るビジネスモデルを研究し、各モデルごとに構造化し、事例共に解説したのがこの「プロフィット・ゾーン経営戦略」である。22の構造化された儲かるビジネスモデルは、ビジネスを「利益を生み出す」という視点で見るのに非常に役に立つ経営書だ。


7冊目:イノベーションのジレンマ / 破壊的イノベーションとは
著者:クレイトン・クリステンセン / 初版発行年:1997年
原題:The Innovator's Dilemma

優良な企業が、既存の商品に対して、持続的イノベーションを継続的に行っていても、全く別の軸からその顧客にとって代替となりコスト的にも安い「破壊的イノベーション」が起こった場合にそれに対して無力である。その一方で、優良な企業は、優良であるからゆえ、持続的なイノベーションを行ってしまい、破壊的イノベーションに対応することに遅れてしまうというのが、イノベーションのジレンマである。

これは、企業というのは、組織だって「反復した改善して、精度を高めていく」という組織であり、れが優良な企業ほど効果的&効率的に回っているために、結局、破壊的なイノベーションを起こる土壌をそいでしまうのだ。

詳しい書評は「なぜ日本企業は強いのか、それは知識創造企業だから」を参考にしてほしい。

あまりにもベストセラーな経営書だけに、いざ知っている?と聞かれたときに読んでないと言わないためにも、目を通しておいた方が良いだろう。


8冊目:ビジョナリー・カンパニー 2 / 第五水準のリーダーとは
著者:ジム・コリンズ / 初版発行年:2001年
原題:Good to Great: Why Some Companies Make the Leap...And Others Don't

「良好(グッド)は偉大(グレート)の敵である」この言葉から始まる「ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則」。

この本は、この言葉どおりに良好な会社と偉大な会社の差は何があったのか(つまり、偉大な会社になるためにはどうすれば良いのか)というテーマで、膨大なリサーチを元に書かれた経営戦略ビジネス書である。

「個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって偉大さを持続できる企業を作り上げる」とした第五水準のリーダーシップを始めとして、様々な成功企業の共通の条件を解き明かしている。

詳しい書評は「驚きの真実:偉大な企業になるためには? – ビジョナリー・カンパニー 2 飛躍の法則」を参考にしてほしい。

このビジョナリー・カンパニー 2も、あまりにもベストセラーな経営書といえるだろう。是非読んでおきたい。


9冊目. ブルーオーシャン戦略 / 競争のない市場を開拓せよ
著者:W・チャン・キム、レネ・モボルニュ / 初版発行年:2005年
原題:Blue Ocean Strategy: How to Create Uncontested Market Space and Make Competition Irrelevant

この「ブルー・オーシャン戦略」の最大の特徴は、市場を2つにわけていることだろう。血みどろの戦いが繰り広げられる「レッドオーシャン」と誰もがまだ到達していない未開拓の市場「ブルーオーシャン」。

レッドオーシャンで戦う危険性と、ブルーオーシャン市場でを開拓する優位性。企業戦略において、創造性の重要性を教えてくれる経営書だ。


10冊目.リーンスタートアップ / 構築 – 計測 – 学習 でイノベーションを起こせ
著者:エリック・リース / 初版発行日:2011年
原題:The Lean Startup: How Today's Entrepreneurs Use Continuous Innovation to Create Radically Successful Businesses

ずばり経営戦略書という本でもないが、今、最も企業に必要だとされるイノベーションを起こすにあたって、どのようにイノベーションをマネジメントしていけば良いのかを教えてくれるのが、このリーンスタートアップだ。

「構築―計測―学習というフィードバックループを通して顧客から学ぶ」を提唱するこの本は、何もシリコンバレースタイルのベンチャー企業だけのものではない。

新しい考え方を試してみるというすべての人々が使えるやり方だ。2011年の発売以来(原著の発売であるが)、大ベストセラーのマネジメント手法が学べる経営書である。

最後におまけに1冊:経営戦略全史
著者:三谷 宏治 / 初版発行日:2013年

経営戦略についてわかりやすく解説したビジネス書。今回紹介した書籍はもちろんのこと、世の中に流通しているビジネス戦略のフレームワークをやさしく背景も含めて解説している。おすすめである。

尚、経営学者という観点から良書を知りたい場合は「6人の経営学者を知れば、経営戦略書は語れる?」が参考になる。

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