組織本・リーダーシップ論本

アジャイルなプロジェクトマネジメント手法を学べるお勧め書籍

変化が激しい時代において、ますますスピードを保ちつつ変化に対応することが求められる。システム開発にも「スピード」と「確実性」、そして、「変化への対応」といった、相反するものがよりいっそう求められている。

先端的なシステムが生まれているインターネット業界で注目の開発手法がある。それがアジャイル開発と言われているものだ。

アジャイルは英語「agile」のカタカナ表記であるが、このアジャイルには「身のこなしが軽い、しなやか、機敏」と言った意味がある。軽快で、対応力があるというイメージである。

アジャイル開発のプロジェクトマネジメントとは「変化への対応でき実行できる、それを迅速に」という、いわば「変化に対応すると実行が遅れますがよいですか?」という、相反する関係なものうまくマネジメントするものといえる。それだけに、これを実施する為には非常に難しい、といえよう。

このアジャイル開発のプロジェクトマネジメント手法に解説したのが、今回ご紹介させていただく「アジャイルプロジェクトマネジメント」である。

この本の特徴は、プログラマーやエンジニア向けにアジャイルな開発方法を解説しているというよりも(これに関しては「アジャイルサムライ−達人開発者への道−」が有名だろう)、プロジェクトマネジャーに向けて書かれたアジャイルなプロジェクト運営方法を解説している点だろう。

プログラマーではなく、プロジェクト運営サイドからアジャイルを学びたい場合は、この本は最適だろう。

アジャイルでチームを運営する際の最初のポイントとしては、「継続的な変化への対応」をチーム全体に促さなくてはならない。その為にやるべきリーダーシップの取り方、適応型チームの作り方などは、是非、本書の第3章を参考にしてほしい。

第4章では、アジャイルでのプロジェクトマネジメントにおけるフェーズ感を解説している。

1. 構想(Envision) : 製品ビジョンやプロジェクトスコープ、プロジェクトコミュニティ、チームでの作業方法を決定する。
2. 思索(Speculate) : ビジョンに沿った、機能ベースのリリース、マイルストーン、イテレーション計画を作成する。
3. 探索(Explore) : テスト済みの機能を短いタイムフレームで提供し、その一方でプロジェクトのリスクや不確定性を継続的に軽減する
4. 適応(Adapt) : 提供された成果や現在の状況、チームのパフォーマンスをレビューし、必要に応じて適応する。
5. 終結(Close) : プロジェクトを締めくくり、重要な学習内容を伝達し、打ち上げパーティをする。(本書P96)

そして、本書にはこのフェーズごとに何をすべきかを解説している。

本書の中にはプロジェクトマネジメントのツールのサンプル(例えば、製品要求カードの例など)も豊富に紹介されている。

そういう点からも、この「アジャイルプロジェクトマネジメント」は、アジャイルなプロジェクトマネジメントをして、迅速かつ、安全にプロダクトをリリースしたいと考えるプロジェクトマネジャーには必見の書と言えるだろう。

■ 発売日
アジャイルプロジェクトマネジメント」の原著「Agile Project Management: Creating Innovative Products」は2004年に発売された。現在は原書では、第二版(2009年発売)が出版されている。

筆者は、ジム・ハイスミス氏。アジャイルソフトウェア開発宣言の作成者の一人でもある。

-組織本・リーダーシップ論本
-

© 2024 大切なことはビジネス書から学んだ Powered by AFFINGER5