「近代マーケティングの父」とも称されるフィリップ・コトラー教授。コトラー教授は、世界で最も有名なマーケティング研究者だろう。
そのコトラー氏が、現代のマーケティングにおいて、重要だと考える80項目について、1項目づつ簡潔に解説するのがこの「コトラーのマーケティング・コンセプト」だ。おすすめのマーケティング入門書としては鉄板の本である。
内容についても、広告、コミニケーションとプロモーション、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント、ポジショニングといった私達が一般的に考える「マーケティング的なもの」から、社員、利益、品質といったビジネスに関する幅広い領域を扱っている。
そもそも、日本において「マーケティング的なもの」と言って連想される業務範囲は小さいすぎると感じる。例えば、宣伝広告や販促がマーケティングと考えている人もいるのではないか?
コトラー教授は、この「コトラーのマーケティング・コンセプト」中では、マーケティングは以下のように定義されている。
「マーケティングとは、充足されていないニーズや欲求を突き止め、その重要性と潜在的な収益性を明確化・評価し、組織が最も貢献できる標的市場を選択したうえで、該当市場に最適な製品、サービス、プログラムを決定し、組織の全成員に顧客志向、顧客奉仕の姿勢を求めるビジネス上の機能である」。
簡単に言えば、マーケティングの役割とは、たえず変化する人々のニーズを収益機会に転化することである。(本書P5)
つまり、マーケティングの範囲は実に広いのだ。
原著のタイトルは、「Marketing Insights from A to Z: 80 Concepts Every Manager Needs to Know」であり、直訳すれば「マーケティング洞察力、AからZまで:すべてのマネージャーが知るべき80のコンセプト」というものであり、この本は、マーケターのみを対象にした本ではない。
すべての人がマーケティングマインドを持たなくていけないと現代ビジネスシーンにおいて、この「コトラーのマーケティング・コンセプト」は、まさに正しいマーケティング入門書といえるのではないか?
■ 発売日
原著「Marketing Insights from A to Z: 80 Concepts Every Manager Needs to Know」は2003年に発売された。
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