アメリカのベストセラーランキングといえばやはり、Amazon.com (アメリカ版のアマゾン)の総合ベストセラーランキングだろう。これが実際に一番信用できるアメリカのベストセラーランキングである。
2018年のランキングを見れば、政治がらみが多かった。トランプ政権の内部からの暴露本ともいえる「Fire and Fury: Inside the Trump White House (邦題: 炎と怒り――トランプ政権の内幕)」は、アメリカ版Amazon.comの2018年ベストセラーランキングで4位。トランプ政権の内幕に迫った「Fear: Trump in the White House (邦題: FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実) 」が5位と、ベストセラーランキングにもトランプ旋風が吹き荒れている。さすがトランプ大統領!
野党の米国民主党側も黙っていない。オバマ前大統領の奥様であるミシェル・オバマ女史の自伝「Becoming(日本語版未発売)」がなんと アメリカ版Amazon.comの2018年ベストセラーランキング で1位を獲得している。
総合トップ100ランキングの中に、数多くのビジネス書がランクインしている。混乱の時代を反映してか、数多くの自己啓発書が並んでいる。
ということで、今年も、 Amazon.com
(アメリカ版のアマゾン) の2018年ベスセラーランキング、上位100位から、ビジネス書のみを抽出して解説していきたい。順位は、総合のベストセラーランキングの中で何位だったということを表している。
尚、 2012年度版、2013年度版、2015年度版、2017年度版と比較して見るのも楽しいかもしれない。
7位 12 Rules for Life: An Antidote to Chaos
日本語版 未発売
自己啓発書カテゴリーに入るであろうビジネス書。作者は、 トロント大学教授のジョーダン・B・ピーターソン氏。日本語未発売につき、まだ日本では知名度がないが、2018年はアメリカでピーターソン氏の旋風が吹きあれたといってもよい。
内容は、タイトルの通りに、12つの人生にとってのルールを紹介しているが、テーマはもっと混乱する時代への対処法ということである。 というのも、副題にある「Antidote」は、解毒剤という意味。つまり、カオスのようなこの時代に対する解毒剤としての12つのライフルールということだ。
混乱の時代という世相なのか総合ベストセラーランキングで7位にランクインしている。
10位 The Subtle Art of Not Giving a F*ck: A Counterintuitive Approach to Living a Good Life
邦題: その「決断」がすべてを解決する
全世界で300万部以上売れた大ヒット自己啓発書。人気のブロガーの著作。SNSなどによって「他人から認められる」ということを今まで以上に意識している現代人に対してアンチテーゼを投げかけている。
自分自身が本当に幸せに生きるためには? この答えに結論を出すためにも是非とも手に取ってほしい自己啓発書である。ちなみに、この本、18位のYou Are a Badassと共にアメリカで売れていて日本で売れていないビジネス書といえる。
18位 You Are a Badass: How to Stop Doubting Your Greatness and Start Living an Awesome Life
邦題: YOU ARE A BADASS もっと「自分のため」に生きていい!: すると、才能、自信、お金……必要なものが必要なときにやってくる
2016年に発売したこの本は、昨年も総合ベストセラーランキング 13位にランクインしており、新しいロングセラー自己啓発書といえるだろう。
作者は、アメリカで success coach(サクセス コーチ)として名高い、ジェン・シンセロ女史。 自分を自信が持てない人に自分をもっと大切にしようと気づかせてくれる、自己啓発書の良著である。日本語版も発売されている。
39位 How to Win Friends & Influence People
邦題: 人を動かす
定番中の定番の自己啓発ビジネス書「人を動かす」。 あのデール・カーネギーの名著である。この 「人を動かす」 は、日本だけでなく、アメリカでも読み継がれており、書籍全体の中で39位にランクインしている。「7つの習慣」とこの「人を動かす」は、毎年100位以内に入ってくる。
この「人を動かす」では、人を動かす原則、好かれる原則、説得する原則などを解説している。まさに、人を動かす、つまり、どのようにして人間関係を築いていけばよいかの示唆を与えてくれる自己啓発書である。人を動かす原則、好かれる原則、説得する原則という、人間関係の原則を教えてくれる。
原著はなんと1936年の発売。そして、毎年のようにアマゾンの総合ベストセラーランキングトップ100位に入る超ロングセラー。アメリカでも、日本でも、鉄板といえるビジネス書、それが「人を動かす」である。
77位 StrengthsFinder 2.0
邦題: さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0
アメリカ大ベスト&ロングセラーの「StrengthsFinder」の改訂版が77位にランクイン。日本では長らく、1.0にあたるバージョンしか発売されていなかったが、この2.0の日本語版も2017年4月に発売された。
ちなみに「ストレングスファインダー」は、「人を動かす」、「七つの習慣」ともに、アメリカでの3大ロングセラー&ベストセラーといえるだろう。
StrengthsFinderでは、弱みを克服するのではなく、強みを活かして活躍しろという自己啓発書である。
このビジネス書が秀逸な点は、強みを活かして活躍しろと言われても、自分の強みがわからない、という問題を解決している点だ。というのも、この本を買えば、自分の強みを特定するためのテストが受けられ、その結果、自分の強みが発見できるのである。まさに「StrengthsFinder」なのである。
なお、この本を買うときは、できれば新品の本を買ったほうが良い。本にオンラインテストを受けることができるコードが付いていくるのであるが、それが1回しか使えない。その為、新品のユーザーがテストを受けていた場合は、中古の本に乗っているコードを使ってもテストは受けられない。
78位 Extreme Ownership: How U.S. Navy SEALs Lead and Win
日本語版 未発売
アメリカ海軍のエリート部隊であるシールズ部隊出身の2人の著者が、どのようにして難しい問題に対処するかを解説したリーダーシップ書。
ちなみにアメリカでは日本よりも元軍人が書いたビジネス書、特にチームワーク、リーダーシップ関連に人気が出る傾向がある。
86位 The 7 Habits of Highly Effective People: Powerful Lessons in Personal Change
邦題: 七つの習慣
全世界で大ヒットとなっている自己啓発書。スティーブン・R・コヴィーの7つの習慣という本を知っているか?と聞いて、知らないと答える人のほうが難しいだろう。とにかく売れている。
自己啓発書として必ず毎年100位以内にランクインする。自分の内面を変え、そこから外側(他人や外部環境)に影響を及ぼすことの重要さや、人生をより実りあるものにするための7つの習慣を説いている。読んでない人がいたらMUSTと言えるビジネス書である。
97位 Rich Dad Poor Dad: What the Rich Teach Their Kids About Money That the Poor and Middle Class Do Not!
日本語版: 改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学
皆様ご存知、お金に関する本で最も有名な「金持ち父さん、貧乏父さん」。こちらもロングセラーだ。
98位 Make Your Bed: Little Things That Can Change Your Life…And Maybe the World
日本語版: 1日1つ、なしとげる! 米海軍特殊部隊SEALsの教え
元シールズが書いた自己啓発書。軍隊式がOKかつ、自らを奮い立たせたい人向け。
100位 Emotional Intelligence 2.0
日本語版:未上陸
歴史的なベストエラーと言える「EQ~こころの知能指数」のアップデート版である「Emotional Intelligence 2.0」が、91位にランクインした。
登場当時、成果主義で疲れてしまったアメリカのビジネス界にも、新風を吹き込んだEQであるが、そのコンセプトは古くならないということが伺える。
情報ソース: Amazon Best Sellers of 2018