無職になったら失業保険が出るし、失業保険をもらいながら転職活動をしようと考えているあなた。あまい。。。
今まで仕事をしていたビジネスパーソンが、無職になった瞬間襲ってくるのが健康保険、年金と税金の支払い問題。今まで、会社が自動的に天引きしてくれるため全く意識してなったという人も多いのではないか?
この記事は、無職になった時の教科書として、サラリーマンが無職になると考えなくてはいけない健康保険、年金と税金とその大まかな金額感をまとめた。厳密な金額は年収や家族構成によって異なるのであくまでも感覚をつかむ参考値としてとらえてほしい。
無職になって、もらえるお金と払うお金に分けて解説している。ちなみに、それでも無職になりって転職活動をしますか?というのがこの記事の結論である。
目次:
A. 無職になってもらえるお金について
A1. 失業保険 (雇用保険)
A2. 退職金
B. 無職なっても払う必要があるお金(税金=住民税、健康保険、年金)について
社会保険
B1. 無職になっても払わなくてはいけない健康保険
B2. 無職になっても払わなくてはいけない年金
税金
B3. 無職になっても払わなくてはいけない税金、住民税
B4. 所得税は考えなくていい
結論として: いくら払えばいいのか?
A. 無職になってもらえるお金について
まずはサラリーマンが無職になってもらえるお金から考えていきたい。
A1. 失業保険 (雇用保険)
まず、会社を辞めたら雇用保険料を払っていた場合は、失業保険がもらえる。
自己都合で退職した場合と、会社都合で退職した場合との扱いが大きく異なる。つまり、転職したくて辞めたか、リストラで辞めたかによって、給付が始まる次期、給付される期間が異なる。
ここで重要なのは、会社都合で退職した場合かなり優遇されるということだ。
また、過去6か月の給与総額と年齢によって支給額も異なる。
無職になって失業保険が開始される時期:
自己都合: 離職後3か月後から給付される
会社都合: 離職後翌日から給付される
重要なポイントは、自己都合で辞めた場合はすぐには失業保険は給付されないということだ。
失業保険が給付される期間:
年齢と過去どのくらいの期間、退職理由の3つによって決定される。
自己都合の場合
年齢/被保険者期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
65歳未満 | 90日 | 120日 | 150日 |
会社都合
年齢/被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | 適応なし |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
給付される額
支給額は過去6か月の給与総額と年齢によって決定されるが、1日あたりの最高額は以下の通り。
30歳未満 6,750円
30歳以上45歳未満 7,495円
45歳以上60歳未満 8,250円
60歳以上65歳未満 7,083円
結局いくらもらえるのか?
前職が比較的に高収入で、今まで一回も給付を受けてなくて、45歳以上だった、つまり最高額でもらったとしても、月額23万前後ということになる。そしてもらえるのは約11か月。それが失業保険の現実だ。
A2. 退職金
企業によっては退職金が用意されている。昨今では、そもそも退職金がない企業も多いので人事部に確認しておくのが良いだろう。
B. 無職なっても払う必要があるお金(税金=住民税、健康保険、年金)について
見落としがちであるが、サラリーマンが無職になると払うべきお金がある。
B1. 無職になっても払わなくてはいけない健康保険とは
この健康保険とは、あなたが民間の保険会社に払っている死亡保険やがん保険のような保険ではない。健康保険は、日本国民が全員加入しないといけない公的な医療保険である。
この保険に加入することで、保険証がもらえ、病院に言った場合に3割負担で医療を受けられる。 ちなみに健康保険は「病気をしないから入りたくない」という選択肢はない。国民であれば病院に行こうが行かないが寒けなく、必ず入らないといけないのである。
健康保険には大きく分けて2つのタイプがある。
・社会保険 - 会社員が入るタイプの保険
・国民健康保険 - 自営業、フリーター や年金受給者、無職の人が入る保険
無職になったら、取れる選択肢は以下の2つである。
方法1: 会社員時代に入っていた社会保険の任意継続
方法2: 国民健康保険に新規加入する
皆さんが聞きたいのは、この2つの方法の中でどちらが安いか?ということだと思う。一般には、 年収が高い人(ex. 800万円)は任意継続のほうが安く、年収が低い人(ex. 300万円)は、国民健康保険のほうが安くなるケースが多い。 ただし、最終的には、皆さんの給料とどこに住んでいるかによるため正確にはお答えできない。
どっちが得かを判断するステップはわずか2ステップ
ステップ1: お住いの市町村に問い合わせて国民健康保険の料金を聞く
ステップ2: 任意継続の上限、月額 27,888円(40歳以上は介護保険の負担もあるため32,312円)と比べて安いほうを選択する
任意継続の手続きは、協会けんぽのこのページからできる。国民健康保険は、各市町村の窓口で手続きができる。また、もし、配偶者が働いていればそちらのほうの扶養に入るという手段もあることも付け加えておこう。
B2. 無職になっても払わなくてはいけない年金とは
日本において年金は、
1階: 国民年金
2階: 厚生年金
3階: 企業独自の年金制度
という仕組みになっている。
1階、2階、3階というのは、これらに加入すると段階的に将来もらえる税金が増えていくため、このような表現になったと推察している。
国民年金というのは、国民すべてが入らなくてはいけない年金。つまり、社会人だけでなく、自営業者、フリーター、無職の人が払わなくてはいけない年金である。つまり、無職になったら、国民年金に加入手続きをしないといけない。
さらに悪い話がある。奥さん(もしくは、旦那様)を扶養に入れていた場合、今までこの年金を払わなくてもよかった。しかし、無職になるとその特権もなくなり、扶養に入れていた人の部分も払わなくてはいけない。年金は、1人当たり月額、16,490円であり、2人ということになれば、32,900円になる。
つまり、2人で約3万3000円ほど支払いが発生するということです。
なお、会社員時代の給料明細には厚生年金と書かかれ天引き額が書いてあるケースが多いが、この厚生年金には国民年金の掛け金が含まれての金額が書いてある。つまり、会社員時代は意識せずに国民年金を払っている。
知っておいたほうがいいこと:
会社員であれば、2階といわれる厚生年金に必ず加入している。これは国民年金に加えて、会社があなたのために費用の半分を負担して積み立てている年金だ。つまり、フリーターや無職で、国民年金だけしか払ってない人よりも、会社員のほうが将来もらえる年金額は、この2階以上の部分だけ多い。つまり、無職になれば将来の年金支給額は減る。
3階というのは、企業独自の年金制度だ。こちらのほうは退職時にどのような扱いになるか各企業の担当から説明を受けられる。ただし、昨今はコスト削減から、このような独自の企業年金制度をもたない会社が多くなっている。もし、転職してこのような会社に入れれば、それは将来的にもプラスである。
ちなみに、自営業者やフリーターなど向けに2階として国民年金基金というものが創設されている。
もし、配偶者が働いていればそちらのほうの扶養に入るという手段もあることも付け加えておこう。
B3. 無職になっても払わなくてはいけない税金、住民税
高給取りの人が最も困るのがこの住民税だろう。住民税は、前年度のものを今年払うという後払い形式のため、無職になった後も払い続けなくてはいけない。
また住民税は特別徴収という後払いで企業が天引きをする形なので、1月1日から5月31日に退職する場合は、その年の5月まで支払う住民税を雇用主が一括して払う必要がある。つまり、最後の月の手取り金額が住民税の支払いという形で大幅に減ることになる。
6月1日から12月31日に退職した場合は、基本的には自分でコンビニ等で支払うこととなる。
自治体によっては住民税の軽減措置もあるが、そのような制度がない自治体もあるためのまずは、無職になったことと住民税の軽減措置があるかどうかは聞いてみる価値があるだろう。
B4. 所得税は考えなくてもいい
サラリーマンの所得税は基本的には前払いである。そのため、無職=無給になった瞬間からなくなる。所得税のことは考えなくてもいい。
また、無職が長引いた場合は、年収が大幅に減るので、税率が下がり、自分で確定申告をすれば所得税の還付が受けられるケースもある。
結論として: 無職になったら税金と保険と年金、いくら払えばいいのか?
払うべきものは、
- 国民年金(2人分:配偶者の分も含める) - 約3.3万円
- 任意継続の健康保険料金(配偶者や子供は不要、40歳以上で介護保険あり) - 約3.3万円
- 住民税は、年収600万程度で、約2.5万と計算する
と、なり大体9万円+ぐらいは出ていくことになる。
いままで給料天引きのため意識してなかったお金を自ら払わないといけない。つまり、無職になると保険と税金で一時的に支払うお金が増えてしまうのである。
その上、給料はなくなり、無職になっても減らない今までの生活費(食費や家賃など)が乗ってくる。無職なると一気に金銭的に追い込まれた感が出てくる。
無職になると、仕事をしている時よりもお金がかかることを覚えておきたい。それでも、無職になって転職活動をしたいですか?