交渉術とすると何か人をだますというようなコワイ印象を与えがちだ。つまり、人の心理を読んで自由に動かすといったことだ。では、この交渉術を学ぶ必要はそもそもなぜ必要なのか? だますために必要なのか?
「武器としての交渉思考」の著者、瀧本 哲史氏は、本書の最初に述べていることを要約すれば、交渉術の重要さがわかる。
現在あらゆる組織で、「王様と家来モデル」が崩壊している。これは簡単言えば今まで上司の言うことさえ聞いていれば成り立っていたが、現代の複雑な世の中でこのモデルが成り立たなくなっている。
そのような時代において重要なことは、「自分たちの手で自分たちで秩序を作りだすこと」が非常に重要になってきている。そのためには様々な人と合意しなくてはならず、そのための交渉が必要になるということである。
武器としての交渉思考では、合意できる範囲を見つけることの重要性、合意できる選択肢を見つけることの重要性など、様々な具体的な交渉方法について解説している。そして、5章には(この本では5時間目とよんでいるが)一番重要な「非合理な人間とどう向かい合うか」ということについても述べられている。
自分はいつも損しているという人には「武器としての交渉思考」は、是非ともおすすめのビジネス書ともいえよう。
交渉はめんどくさいものだと思っている人も多いだろう。しかし、これだけ複雑で流動的な世の中になってくれば交渉ごとは避けて通れない。それならば、交渉術の良書を読んで、交渉力を鍛えたほうが良いのではないか?
■ 発売日
2012年初版。