年金2000万円問題や、コロナ禍の影響もあり、将来の不安からお金を増やしたいという読者の方も多いだろう。そうなると投資を始めようということになる。ただ、どうやって? 何をどうやって買ったの良いのか? 今回は、そのテーマにこたえていきたい。
もちろん、その中でキーとなる投資本も紹介していきたい。書籍で勉強することは常に重要である。
1. 投資でお金持ちに: 投資の始め方で見る2つのパターン
2. 最初にどちらの投資の始め方を選べばいいのか?
3. 投資の始め方、パターン1の具体的な始め方
4. 投資の始め方、パターン2の具体的な始め方
1. 投資でお金持ちに: 投資の始め方で見る2つのパターン
投資でお金持ちになった人の話は大きく分けて2タイプある。
1つ目は、資金を10万円の種銭が1億になりましたという話だ。この話は、ほとんどが投資資産がそもそも10倍になる可能性がある商品を買って、それを頻繁にトレード (売ったり買ったり) してという話である。下の図で言うゾーン1である。
2つ目は、長期、分散、積立という、お金を徐々に積み立てていって、基本的には一切売れらない。その結果、蓄積効果で、20年後には大金持ちになりましたというの話である。下の話にで言うゾーン2である。
このゾーン1に到達するための方法がパターン1、ゾーン2に到達する方法がパターン2である。つまり、お金持ちになりたい場合は、このパターン1とパターン2のどちらかを選ぶかという話になる。
2. 最初にどちらの投資の始め方を選べばいいのか?
まず、トレードする時間があるか?ということである。投資を始めたくても、トレードする時間がなければ、パターン1は取れずにパターン2のみが取れる選択肢となる。
投資を始めるというとある意味、ゴール1のような短期間で爆益というイメージがある。ただし、トレードするためにはそれなり相場に張り付かないといけない。
つまり、フリーターが株でデイトレ (=デイトレーディング、1日に何回も売買を繰り返す手法) で一発逆転という話の背景には、フリーターには時間があってそれなりにトレード (売買) する時間があったということが大前提となる。あなたが忙しくトレードする時間がなければ、トレード手法の研究も状況をつかむためにマーケットを継続的に見ていることもできないため、この方法はそもそもできない。
さらに、時間があったとしても、パターン1、つまり、トレードで勝つのは非常に難しい。いま、市場における主流の考え方は、金融商品の将来的な価格を予測するのは難しいという考え方が主流だ。
いわば「株価が上がるか下がるかは誰もわからない」ということになる。この考え方に従えば、株でも、FXでも儲けた人は単に運がいい人となる。
このような考え方は膨大な資料を使って、投資の名著「ウォール街のランダム・ウォーカー」で説明されている。この本の初版は1970年代という名著中の名著で、現在でも支持されていることを考えると大枠ではこの考え方は正しい。
ただし、この考え方も完璧でなく、最近の名著「Adaptive Markets 適応的市場仮説: 危機の時代の金融常識」の中では、金融市場にはひずみがあり、それを見つけ出してその中で勝ち続けるプレイヤーがいることもいることが解説されている。ただし、その数は少ないが。。。
つまり、トレードで勝つことは非常に難しいが、不可能ではないということだ。
更に素人がトレードに勝つ理由が難しいのは、トレードは、常に市場で行われており、その道のプロと素人であるあなたが同じマーケットで戦うことになる。草野球選手と大リーガーが混じってプレイしている状況なのだ。
トレードの教科書の古典として有名な「高勝率トレード学のススメ」でも、著者が最初はトレードで破産一歩手前まで追い詰められたという話がある。また、トレーダーには、投資本で得れるような知識や経験だけでなく、強烈なメンタル耐性などが必要で、そもそもの合う合わないといった適正の問題もある。
といってもやってみたいという人が多いだろう。まずは、手持ちのお金の2から3割程度でトレーダーデビューしてみるのがいいだろう。トレードすることで、自分には向いているかどうかわかる。
トレードのやり方は、数多く解説書が出ているので「トレード&投資本 - 損する前に読んでおきたいおすすめの8冊」を参考に何冊かまず買ってみるがのが良いだろう。もし、迷うのであれば、まずは、「高勝率トレード学のススメ」がおすすめだ。さらに、トレードが向かないとわかった場合 (2から3割程度の資金をすべて失った場合) は、インデックス投信を買うというゴール 2 を目指せばよい。この際にも、必ずトレードの知識が役に立つ。
そもそも、忙しいサラリーマンなどは、頻繁にトレードする時間はない。例えば、(個別)株で決算情報を見て、夜間取引で仕掛けるなんてことをやっていたら、仕事に影響が影響が出てしまう。さらに、本業もあるならば、今すぐにお金が必要というわけでもなく、将来の不安解消が目的であろう。その場合は、やみくもにパターン1の方法をとるのではなく、あくまでも、パターン2で攻めるべきだ。
次章から具体的に、パターン1とパターン2のはじめ方についてみていく。
3. 投資の始め方、パターン1の具体的な始め方
パターン1、つまり、トレードを始めてみると、なぜ、全財産を人間がトレードで失うかを知ることになる。それは、損切りが難しいということだ。
そして、トレードで持ち金を失ってしまうというケースのほとんどが、事実上、借金をしてトレードする証拠金取引というリバレッジを掛けた取引をした上で、損切ができなかったということだ。
損切りと証拠金取引と追証
損切りとは、例えば株で損をしている状態で、株を売却することである。この場合、もちろん持ちづづければ株価が上昇し利益を得れる可能性もあるが、さらに下がって損失を生む可能性もある。損切りは、このような場合に、さらに大きな損をしないために株を売却する行為をいう。自分は値上がりすると思って買った株を、損失している状況で売却するということは、将来の利益をあきらめるだけではなく、自分の判断が正しくなかったということを認めることであるため、非常に難しい決断である。
この損切りができないことで大きな問題を生むのが、信用取引や証拠金取引といわれている、自分のお金以上に投資をして大きなリターンを得れるレバレッジ商品である。このような商品では、自分の資金やトレードしている金融商品を保証金 (担保) として差し出すことで、自己資金のX倍 (倍率は商品によっていろいろとあるが、クリック365という商品では25倍まで) の価値の株や通貨などを取引=レバレッジを書けた取引ができる。
例えば、25倍で取引をしていた場合 は、自分のお金の25倍の取引ができる。
仮に今、1万円を持っていたとする。25倍ということは25万円分トレードできる。1万円で取引していて、市場が5%上がった場合は、500円獲得でき、総資産は1万500円となる。今は、取引手数料などは考慮しないとすると、25倍の場合は、25万円の5%であるので、1万2500円手に入ることになる。元は同じ1万円で有るが同じ現象が起こったとしても、得れる利益は、500円と1万2500円とかなり違う。これがリバレッジ取引の魔力である。
ただし、仮に5%下がったとすると、リバレッジなしでやっていた場合は、500円の損出で、9500円手元に残る計算になる。しかし、25倍の場合は、25万円分トレードしているので、1.25万円失い、口座残高は、-0.25万円になる。つまり、全財産を失ったうえで、2500円の借金が残ることになる。
もちろん、このようなことにならないように、口座がマイナスにならないように自動でロスカットする仕組みや、手数料などもかかるが、これが、レバレッジ取引の怖いところである。
多くの場合は、じわじわ下がり、口座がマイナスにならないために、追加保証金というものを求められる。これを追証というが、損切りができないと自分が購入した株や通貨を維持するためには、追証を証券会社やFX取引会社に入金し、口座をプラスに保つ必要があるわけだ。多くの場合、この追証で全財産を失った、最悪の場合は、急激な相場の変動により借金が残ったということがある。
もちろん、繰り返しになるが、莫大な追証が発生しないように、強制的に損切する仕組みなどさまざまな商品を擁している証券会社やFX会社があるが、いずれにしても急に相場が動いた場合は、大きな損害を被ることがある。
ただ、大きな利益を得るためには、自己資金以上の取引をする必要があり、このようなレバレッジ取引は一般的である。
レバレッジ型指数ETF
レバレッジがかかった商品でもこのような追証が発生しないものもある。例えば、低レバレッジのETFなのである。日経平均先物という先物を購入すると25倍ぐらいのリバレッジ率であるが、日経レバレッジダブルというような2倍のレバレッジでのETFでの商品がある。ETFとは、上場投信というもので、マーケットが開いている間で、常時取引ができるものである。このようなETFを使って、トレードの練習をするのが良いのではないか。
練習としては、日経平均に連動した2倍レバレッジのETFが面白いだろう。値下がりしたら儲かるインバース型は1000円から、値上がりしたら儲かるものブル型は、1万円程度からスタートできる。尚、現在主要な証券会社は、一日のETFの取引代金が50万円以内だと取引手数料は無料である。これを使ってデイトレしても、そんな大きな損につながることはないだろう。
なお、個別株はお金がかかる
個別株とはいわゆる株式である。トヨタ自動車の株、NTTの株といった具合だ。例えば、トレードの対象として、個人投資家に人気のソフトバンクグループの株がある。現在、株価は6500円ぐらいであるが、この株を買おうとすると65万円必要となる。これは、単元株といって、ソフトバンクの株は1株では買えずに、100株単位でしか買えない。最近は、手数料を払えば、一部の大型株については1株から買えるミニ株という仕組みもあるが、一般的には個別株を売買するには原資が必要だ。
更に、1つの個別株で、勝負すると個別の企業の事情による値動きも大きいため、資金量がある程度溜まるまでは、そして、トレードに慣れるまでは、初心者は株価指数を使ったETFが一番おすすめである。
このような商品を買うためには、ネット証券会社のアカウントを開くのが良い。ネット証券会社は競争が激しく、また、手数料は比較が容易のことから主要証券会社は、ほとんど同じ価格体系となっている。
ネット証券会社の大手2社は、楽天証券、もしくは、SBI証券となっている。楽天ポイントが集めているのであれば、楽天証券が良いが、それでなければ直感で決めて大差ないだろう。私は、楽天ポイントを集めているのでもちろん、楽天証券を使っている。
4. 投資の始め方、パターン2の具体的な始め方
パターン2において、トレードする時間がないといっても、週末は自分で研究して投資商品を選びたいという人もいるであろう。
そんな人は複数の投資信託を積み立てで買うのをお勧めする。投資信託は自動で積立設定ができるので、仕事の忙しさとは関係なく購買が行える。また、投資信託は、1日1回の値動きであるので頻繁に価格をチェックする必要もなく、その一方で、かなり、種類が多く、研究していろいろな戦略を立てられる。勉強好きな人には楽しんで投資が行える。
さらに、パターン2の方法のはじめ方は簡単だ。なぜなら、何を買えば良いのかが、非常に明確である。有名なエコノミストである、山崎元氏が監修した「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」にも記載されているが、投資信託については、様々な商品があるが、大きく分けて
・ アクティブファンドといわれている、ファンドマネージャーという管理者がいて、その管理者が何に投資をするか人的に決め、株式市場の平均的なパフォーマンス以上を目指そうとしているもの
・ インデックスファンドといわれる、株式市場の成長に合わせて利益を獲得していくために、日経平均やS&P 500といった株式指数と連動しているもの
の2タイプある。
投資信託には、運用手数料というものがあり、一般的にはインデックスファンド (0.1%程度) よりも、アクティブファンド (一般的には1%以上) のほうが手数料が高い。そして、現状では、結局、株価が上がるのも、下がるのも人間が予測できないという意見が大きく支持を集めていることは前述した。
つまり、投資信託は運用手数料分は必ず損することから、上がるか下がるかわからないならば、手数料が安いほうが必ずお得だということで、手数料が比較的に安いインデックスファンドに人気が集まっている。
つまり、投資信託を買う際の大原則は、とにかく手数料が安いものを買うということになる。また、株価が上がるか、下がるかわからないということから、買う時期をばらして買う (一般的にドルコスト平均法といわれる) ということになる。
投資信託のいくつかの戦略:
1) "世界"の株式に投資する
2) 複利効果を得るために高配当株を狙う
3) 株以外もバランスを良く買う
このように投資信託を組み合わせる戦略もあるが、めんどくさいという場合は、世界株式に投資できるもので手数料が安い「 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を、毎日積立をするのが良いだろう。毎日積立は、主要のオンライン証券で自動で設定でき、例えば、毎日1000円積み立てれば、1か月間で営業日を約23日とすると、2万3千円の積み立てになる。
投資信託はどの証券会社でも買えるが、お勧めのは、大手2大ネット証券会社ということになる。それは、楽天証券とSBI証券である。
さらに、とにかく時間がなく、勉強もしなくない人についても、すぐに投資を始めたいほうが良い。
こんな人には、投資一任型のロボアドバイザーをお勧めしたい。投資一任型というのは口座にお金を振り込めば、あとは自動で投資にまつわる作業を行ってくれるものだ。以前は、このようなサービスは富裕層向けで数百万から数千万円ぐらい規模で、さらに管理費用もそれなりに取られたが、現在は1万円から始められ、費用は1%程度で始められる。楽天証券の楽ラップ(1万円から)といったように証券会社が提供しているものや、THEOやWeathNavi (10万円から) など専業の会社もある。とにかく、投資はすぐに始めたほうが良いので、迷っている場合は、このロボアドバイザーの口座を開き、そこに入金するところから始めるのが良いだろう。
ロボアドバイザーの問題点は、上記の「手数料を安いものを選ぶ」問う原則が満たせない。投資一任型のロボアドバイザーを選ぶと運用手数料が1%程度かかるということだ。つまり、確実に1%負けるということだ。そういったことから、ロボアドバイザーを使って、運用を始めてある程度の仕組みがわかってきたら、自分でロボアドバイザーがやっていることをやれば、これが0.1%ぐらいに低減できる。
ただし、どんな場合でも投資は早く始めたほうが良いので、勉強をしてから投資を始めるということであれば、ロボアドバイザーの口座を開いてとにかく始めてしまったほうが良いということになるだろう。
ロボアドバイザーで有名なのは、THEO、WeathNavi、楽ラップ (楽天証券)がある。