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効率的市場仮説は本当か? - ランダムウォーク理論への挑戦

2020年10月23日

昨今、インデックスファンドを使った積立投資が大人気である。

このインデックスファンドというのは、例えば日経平均やダウ平均などの複数の株から構成された株式指数に連動するように設計された投資信託である。このファンドを毎月少しづつ積立投資をしていくのが一番投資効率が良いという戦略が非常に支持されていることが大人気の背景だ。

この戦略が生まれた背景は「効率的市場仮説」という理論がある。これは「株価などは価格はその時点で得られた情報をすべて織り込んでいる。そのため、現時点までの情報を元に、将来の価格を予想することはできない」というものだ。

この理論によれば価格の上下は「無作為な形で動く(ラウンダム・ウォーク) 」と定義され、テクニカル分析やファンダメンタル分析といった、市場分析も無意味ということになる。

つまり「将来価格がわからない以上、長期的には経済の発展以上のリターンは得ることはできない」ということなり、経済成長に寄り添う日経平均のような指数をベースしたインデックスファンドを購入しておけば、日本経済が成長すればその利益を確実に享受できるという投資戦略となる。

この戦略を豊富なデータと共に解説したロングセラー本が「ウォール街のランダム・ウォーカー」である。1973年の発売以来、累計販売部数が150万部を超えたベストセラー本である。

なんとも夢のない話であるが、この話、すごく確実性があるような雰囲気がある。ということもあり、資本主義モデルの経済大国でもっとも高い経済成長率を誇るアメリカ株の代表的指標のS&P500を指標としたインデックスファンドが現在大人気である。

ただ、この理論に大きな問題点があり、
・ 投資で勝ち続けている人、単に運がいいだけなのか?
という質問には答えられていない。なぜなら、非常に数は少ないが、長期間にわたって成功しているウォーレン・バフェット氏のような投資家というものが存在するからだ。

つまり、効率的市場仮説に対する批判は、
・ マーケットはそんなに効率的ではなく、何らかの理由で効率化されないひずみが起きる。そのひずみを見つけられる人がおり、その人は勝ち続けられる
というものに集約する。

そして、投資家としては、できればひずみを見つける方法のヒントが欲しいということだろう。

今回、紹介する投資本である「適応的市場仮説」はこの「効率的市場仮説」が持つ矛盾に答える大作だ。

P272ページより引用:
私たちの行動にはバイアスがあり、私たちは一見すると最適ではない意思決定も行うが、過去の経験に学び、否定的なフィードバックに応じてヒューリスティックを見直すことができる。

上記を読むと難しいが、そのひずみが生まれる理由を「人間が起こす判断や必ずしも毎回に究極的には合理的ではない」というところに見出しているといえよう。

いずれにしても、効率的市場仮説には限界があり、実際にマーケットにはひずみがある。それによって儲けた人も数多くいる。もし、ひずみを見つけたいと感じたら是非この「適応的市場仮説」を読んでみることをお勧めする。

ただし、投資で勝ち続けている人の数が非常に少ないのも事実だ。夢がなくともコツコツやりたいと考える人は、コツコツと積立投資をするのが良いのではないか。効率的市場仮説は、完ぺきではないが、忙しいサラリーマンの投資戦略としては何もやらなくてよいということからも最適だからだ。

まとめ: 市場仮説と投資戦略

  • インデックスファンドを用いた長期積立投資は、効率的市場仮説に基づく理論から支持されている。これは、市場価格はすべての情報を反映しており、将来の価格予測は困難とする考え方である。
  • 効率的市場仮説によれば、市場はランダムに動き、テクニカル分析やファンダメンタル分析は無意味とされる。しかし、一部の成功した投資家(例:ウォーレン・バフェット)の存在は、この理論に疑問を投げかけている。
  • 市場にはひずみや偏りが存在し、それを見つけ出すことができる投資家もいる。こうした視点から、「適応的市場仮説」が提唱され、市場行動の非合理性や人間の判断バイアスに注目している。
  • 投資においては、確実な勝ち続ける方法は存在しないが、コツコツと積立を続ける戦略がリスクを抑える上で有効である。特に忙しいサラリーマンには、効率的市場仮説に基づく長期積立投資が最適と考えられる。
  • これらの理論や考え方について深く理解したい場合、「ウォール街のランダム・ウォーカー」と「適応的市場仮説」の両書がおすすめである。

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