組織本・リーダーシップ論本

なぜ今リーダーシップを学ぶべきか|読むべき名著10冊【ベスト&ロングセラー】

2014年1月26日

ベストリーダーシップは、生まれつきの資質ではなく、学びによって磨かれるものである。

環境が変化し続ける現代の組織では、肩書きや権限だけでは人は動かず、リーダーとしての考え方や振る舞いが成果を左右する。だからこそ、リーダーシップを体系的に学べるビジネス書を読む意義は大きい。

本記事では、流行や話題性ではなく、長く読み継がれてきたロングセラーを中心に、リーダーシップを理解するための名著10冊を厳選した。これから管理職になる人、すでにチームを率いている人、自分なりのリーダー像を模索している人に向けて、思考の軸となる本を紹介する。

リーダーシップとは何か

リーダーシップと言ってもまずその定義が難しい。

というのもこのリーダーシップという言葉が昨今、変容していると感じる。以前は「組織を率いる人物に求められる組織統率力」というイメージがあった。現在では「部下が主体性を持って仕事を進める育成力」という範囲がリーダーシップとして注力されていると感じる。「統率から育成へ」ということだ。

リーダーシップは特別な才能ではなく、考え方や行動の積み重ねによって身につくものであり、だからこそ体系的に学ぶ価値がある。

なぜ今、リーダーシップを学ぶ必要があるのか

現代の組織では、過去の成功体験やマニュアルだけでは通用しない場面が増えている。市場環境の変化が激しく、正解が見えない状況で意思決定を迫られることが日常化しているからだ。こうした環境では、指示を待つ組織よりも、一人ひとりが判断し行動できる組織のほうが強い。その前提として求められるのが、方向性や判断基準を示すリーダーシップである。

だからこそ、経験や勘に頼るのではなく、先人たちが積み上げてきた知見を通じて、リーダーシップを言語化し、自分なりの軸として身につけることが重要になる。今、リーダーシップを学ぶ意味は、単に出世のためではなく、不確実な時代において主体的に働くための基礎をつくることにある。

リーダーシップ本の選び方

リーダーシップ本を選ぶ際に注意したいのは、流行にのって「すぐに使えるノウハウ」だけを求めすぎないことである。短期的なテクニックは状況が変われば通用しなくなるが、本質を学べば、考え方や判断の軸は環境が変わっても使い続けることができる。特に組織や人を扱うテーマでは、即効性よりも再現性や普遍性のほうが重要になる。

その点で、長く読み継がれてきたロングセラーのリーダーシップ本には、時代や業種を超えて通用する前提や構造が整理されていることが多い。成功事例をなぞるのではなく、「なぜその行動が機能したのか」「どのような前提で意思決定が行われたのか」を学べる本を選ぶことで、自分の置かれた環境に応用しやすくなる。リーダーシップ本を読む目的は、誰かのやり方を真似ることではなく、自分なりの判断基準をつくることにある。

目次:
1. リーダーになろう
2. 偉大なリーダーの共通点
3. 今注目されるリーダーシップ論
4. リーダーシップを持ってチームを育てる / チームビルディングのコツ
5. リーダーシップを持ってチームを育てる / コーチング
6. リーダーシップを持ってチームを育てる / 行動科学
7. リーダーシップを持ってチームを育てる / 東京ディズニーランドから学ぶ
8. リーダーシップを持ってチームを楽しくする
9. リーダーシップを持ってチーム内で協力する
10. リーダーシップの現実とは

1. リーダーになろう

リーダーになる[増補改訂版]
著者:ウォレン・ベニス / 初版 1989年
原書:On Becoming a Leader

リーダーシップについて語った古典的名著。21カ国語に翻訳されたベストセラーである。「リーダーになる」は、リーダーシップを生まれつきの才能ではなく、「自分自身を理解し、形成していく過程」として捉えた古典的名著である。本書でベニスは、カリスマ性や権力ではなく、価値観・自己認識・誠実さといった内面的要素こそが、長期的に人を導く力になると説いている。時代や組織形態が変わっても読み継がれているのは、リーダーシップの本質を人間そのものに結びつけているからだ。

また、本書では「しかし、リーダーシップを学ぶことは、多くの人が考えているよりもずっとたやすい。リーダーシップの素地は、誰の中にもあるからだ。」と説く。勇気の出る言葉だ。つまり「リーダーとして生まれる」のではなくて、タイトル通りに「リーダーになる」のである。

こんな人にお勧め:
リーダーになったばかりの人は、まず、リーダーシップ本はまずはこの本から始めたい。そして、リーダー像に迷う中堅リーダーにもこの本はお勧めだ。

この古典的名著「リーダーになる」の書評はこちらから。

2. 偉大なリーダーシップの共通点

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則
著者:ジム・コリンズ / 初版 2001年
原書:Good to Great

大ヒットのビジョナリー・カンパニーシリーズで、最も発行部数が多い「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則」。この中では、偉大な企業におけるリーダーシップについても語られている。

第五水準のリーダーシップと名付けられたこのリーダーシップは、「個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって偉大さを持続できる企業を作り上げる」と説明されている。これは、カリスマ的な英雄リーダーではなく、規律と謙虚さを併せ持つリーダーが、組織を長期的な成功へ導くという事実だからだ。流行の経営理論ではなく、再現性のある原則に焦点を当てている点が、今なお読み継がれる理由である。

こんな人にお勧め:
成功した企業のリーダーから学びたいと感じる人。より大きな組織を動かしていきたいリーダー、および、リーダー候補。

この「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則」の書評はこちらから。

3. 今注目されるリーダーシップ論

サーバントリーダーシップ入門
著者:金井 壽宏 / 池田 守男 / 初版:2007年

リーダーと言えばカリスマ的なリーダーを想像する。「俺についてこい」という強力なカリスマ性をを持ったリーダーだ。

この対極にあると言えるのが「サーバントリーダーシップ」である。カリスマ型リーダーシップとは違い、組織がうまく動くように奉仕する、関与するというリーダーシップの方法論である。

そもそも、部下を引っ張る、もしくは、部下を率いると考えているリーダーは、リーダーと奉仕するという考え方は相容れないように感じるのも当然だろう。しかし、真のリーダーは、それに従うもの(部下)に信頼されてなくてはならない。そのためには、部下の悩みに共感し、成長を助け、彼らをガイドしなくてはならない。これは、奉仕する=部下の言いなりになるということではない、彼らの成長をビジョンを持って助けるのである。

このサーバントリーダーシップの考えを送り出したロバート・グリーンリーフ氏の大著「サーバントリーダーシップ」は非常に分厚くいろいろな内容を含んでいる。非常におすすめなのであるが、よりわかりやすく学びたい方へ「サーバントリーダーシップ入門」を紹介させていただきたい。

こんな人にお勧め:
部下が全くついてこないと考えるリーダー。部下との信頼関係を築きたいリーダー。

この「サーバントリーダーシップ入門」の書評はこちらから。

4. リーダーシップを持ってチームを育てる / チームビルディングのコツ

あなたのチームは、機能してますか?
著者:パトリック・レンシオーニ / 初版:2002年
原書:The Five Dysfunctions of a Team

アメリカで毎年、アマゾンドットコムの総合ベストセラーランキング100位以内に入るベストセラービジネス書であるこの本は、チームビルディングのツボを学べる名著だ。

この本では、チームが機能不全に陥る際には、5つのポイントと指摘しており、それは、
1. 信頼性の欠如 (つまり、信頼していれば良いチームになる)
2. 衝突への恐怖 (正当な主張のもとに衝突すれば良いチームになる)
3. 責任感の不足 (自分の業務言い訳なく実施すれば良いチームなる)
4. 説明責任の回避 (自分の業務をしっかりと説明できれば良いチームになる)
5. 結果への無関心 (結果へ関心を持てば良いチームとなる)
である。

ビジネス小説という形をとっているために非常に読みやすいだけでなく、巻末には、筆者が提唱するチームビルディングに関するモデルの解説だけでなく、実際にチェックリストも含まれているため、があるので理解しやすい本である。なお、著者のパトリック・レンシオーニ氏は、様々なチーム課題に関して、分かりやすいビジネス小説という形で数多くの本を出版している人気のビジネス書作家である。

こんな人にお勧め:
チームビルディングに悩むリーダー

この「あなたのチームは、機能してますか?」の書評はこちらから。

5. リーダーシップを持ってチームを育てる / コーチング

コーチング入門 (日経文庫)
著者:本間 正人、松瀬 理保 / 初版:2006年

コーチングの基礎を学べる新書。コーチングを「特別なスキル」ではなく、日常のマネジメントやリーダーシップに応用できる基本技法として整理した入門書である。本書では、指示や助言によって人を動かすのではなく、問いかけや対話を通じて相手の主体性を引き出すという、コーチング時に必要な「傾聴」「質問」「承認」の3つのスキルを学べる。

専門書では難しい用語や長い解説を理解しないといけないコーチング理論を、ビジネスの現場で使える形に落とし込んでいる点が、本書が長く読み継がれてきた理由であろう。

こんな人にお勧め:
部下とのコミュニケーションが一方通行であると感じてる管理職。
特に若手のメンバーの自律性を引き出すためにどのように接していいのかとお悩み中の管理職におすすめである。

6. リーダーシップを持ってチームを育てる / 行動科学

短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント
著者:石田 淳 / 初版:2007年

日本における行動科学(分析)の第一人者とされる石田淳氏の著書。この行動科学をビジネスに適応した場合、行動に注目して、「良い結果を出すために行った行動」を賞賛すると言ったことが重要になる。つまり、行動を基準にして物事を見るということだ。

この行動科学が注目されて来た背景には、結果だけをみる成果報酬型の導入における弊害があるという。成果報酬型を導入してみると、2割の人は自ら成果を出していくが、8割の人はどのように成果を上げていいのかわからず(つまり、どのように行動してよいのかわからず)に停滞し、組織全体としてはパフォーマンスが落ちてしまうということが挙げられる。

このような背景で注目されてきた行動科学、リーダーシップを発揮するために是非とも知っておく必要があるだろう。そういった意味で「短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント」は、おすすめのリーダーシップ本である。

こんな人にお勧め:
現場の行動を具体的に変えるマネジメント手法を求めているリーダー。

7. リーダーシップを持ってチームを育てる / 東京ディズニーランドから学ぶ

9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方
著者:福島文二郎 / 初版:2010年

東京ディズニーランド、いつ行っても楽しい場所だ。そして、スタッフの皆様も楽しそうに働いている。そんな東京ディズニーランドのスタッフ育成方針を解説したのが、「9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方」である。

この本で最も重要なポイントと感じたのが「すべての人(社員、アルバイト、役職に関係なく)がリーダーシップを持つ」ということがある。細かい育成方法は、本書を是非とも読んでほしいが、主体性を持って働くチームを作りたいと考えるリーダーにはおすすめの書である。

こんな人にお勧め:
アルバイトなどの非正規雇用が多い組織でリーダーシップを発揮したいと考えている方。

8. リーダーシップを持ってチームを楽しくする

フィッシュ!―鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方
著者:スティーヴン・C・ ランディン、ジョン・クリステンセン、ハリー・ポール / 初版:2000年
原書:Fish!: A Proven Way to Boost Morale and Improve Results

仕事が楽しくなればどんなにいいものか? そう思う人も少なくないだろう。そのぐらい「仕事がつまらない」というのは当たり前のことなのである。

そのつまらない仕事をどのように面白くし、活気あるチームを作るかというテーマのビジネス小説が、このフィッシュである。

このフィッシュ!では活気のあるチームを作るためには、
・態度を選ぶ 常にポジティブな姿勢で出社するように心がける。
・遊ぶ オフィスに活気があふれるような遊び方を取り入れることが大事。
・人を喜ばせる 顧客や同僚に対してエネルギッシュな楽しい雰囲気で接する。
・注意を向ける 人があなたを必要としている瞬間を逃さぬように、いつも気を配る
ことを徹底することを重要さを解いている。

ビジネス小説、という体裁なため、非常に読みやすいこの「フィッシュ!」。詳しくは本書を是非読んでほしいが、英語版の書籍によると全世界で500万部以上が売れたという大ヒット作品、つまり、大ベストセラーといえるビジネス書である。おすすめである。

こんな人にお勧め:
難しい理論よりも現場で実行しやすい考え方を求めているリーダーに向いている。
フィッシュは、病院などの身体的、精神的な負担が大きい職場で人気がある。

この「フィッシュ!―鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方」の書評はこちらから。

9. チーム内で協力するために必要なリーダーシップは?

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか
著者:河合太介、高橋克徳、永田稔、渡部幹 初版:2008年

「関わらない」「協力しない」「助けない」という職場が増えているという。なんとなく雰囲気が悪く、ギスギスしている職場だ。

このような不機嫌な職場の問題点を解き明かし、どのようにしていけばいいのかを実例もふまえて解説するのが、この「不機嫌な職場」である。

実際のビジネスの現場では「助けあわない」ということを問題視した場合、その回答として「個人の資質(つまり、あの人とは合わない)」や「仕事の量(つまり、忙しくてそれどころではない)」といったところに落ち着きがちだ。いわゆるそのタイミングで、できなかったという個別論である。その結果、解決策として提示されるものには、精神的なものが多いように感じる、つまり「がんばれ」というようなものだ。

「不機嫌な職場」では「助けない」というのが、昨今の組織的な問題であると捉えている。つまり、会社が作った組織が「助けない」ということを助長しているのだ。これは、効率化と成果主義がこのような「助け合わない」組織を生む一つの原因になっているとも断じている。

「助け合わない」と愚痴るよりも、なぜ助け合わないかをリーダーは理解しないといけないだろう。

こんな人にお勧め:
チーム内でのコミュニケーションが円滑に行われていないと危機感をもっている管理職

この「不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか」の書評はこちらから。

10. リーダーシップの現実とは

最前線のリーダーシップ
著者:マーティ・リンスキー / ロナルド・A・ハイフェッツ 初版:2002年
原書:Leadership on the Line: Staying Alive Through the Dangers of Leading

リーダーシップの現実について真摯に教えてくれる名著。

変革を実現するために反対派とどう対処するか?など、リーダーシップを「人を導く理想論」ではなく、現実の組織で必ず生じる対立・抵抗・危険とどう向き合うかという視点から捉え直した実践的名著である。本書の最大の特徴は、リーダーとは安全な立場にいる存在ではなく、常に批判や反発、孤立のリスクにさらされる「最前線の存在」であると明確に定義している点にある。

本書が示すのは、リーダーが自分を犠牲にして突き進むべきだという精神論ではない。むしろ、自分を守りながら、あえて困難な課題を組織に突きつけ続けるための知恵である。リーダーシップとは勇敢さだけでなく、距離の取り方、感情のコントロール、支援者の確保といった「生き残るための技術」でもあることを教えてくれる。

こんな人にお勧め:
組織変革や難しい意思決定を担う立場にあり、理想論ではなく現実の重さを伴うリーダーシップを学びたいと考えている方。

この「最前線のリーダーシップ」の書評はこちらから。

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