セールスレターは、見込み客の感情と意思決定に直接働きかけ、行動を引き出すための文章技術である。ダイレクトマーケティングやCRM、ランディングページにおいて、その成否は売上を大きく左右する。
本記事では、米国ダイレクトマーケティングの第一人者ダン・S・ケネディによる名著『究極のセールスレター』を取り上げ、効率的なダイレクトメールの構造、反応を生むコピーの考え方、現代のデジタル施策への応用までを整理して解説する。
セールスレターやコピーライティングを体系的に学びたい人にとって、実務の軸となる一冊である。セールスレターの名著として長年読み継がれてきた理由も、本記事で明らかにする。
セールスレターがダイレクトマーケティングで重要な理由
インターネットを使って見込み客のリストを作り、そこにeメール(ダイレクトメール)を送る。そんな作業をしている方も多いだろう。
eメールの時代になってもダイレクトメールを作るという作業は非常に難しい。というのも、テクノロジーが進んだ今でも「見ず知らずの相手の興味関心を引き出すような文言を考える」ということは非常に難しいからだ。
店舗などでは、直接人に会って(つまり、対面で)接客できる。服装や顔つきから好みや所得レベルも類推できるかもしれないし、すくなくとも、女性か男性か、年齢層などは容易にわかる。さらに、人間の頭脳を駆使して、お客様の反応に合わせたメッセージを対話を通して伝えることが出来る。
これに対してダイレクトメールは、実際に会わないで(つまり、非対面で)であなたの化身でもあるメールや紙が見込み客を説得し、そして購入してもらわなくてはいけない。逆に言えば、素晴らしいダイレクトメールを作ったら非常に低コストで効率的な営業ができるが、全く見当違いのもの作ればごみ箱へ直行という世界である。
『究極のセールスレター』の概要と特徴
そんなあなたにオススメなのが今回紹介しているアメリカのダイレクトメールの第一人者のダン・ケネディ氏による著書「究極のセールスレター シンプルだけど、一生役に立つ!お客様の心をわしづかみにするためのバイブル」である。
この本では、28のステップで、どのような手順でダイレクトメールを制作するべきなのかを教えてくれる名著である。この28ステップの中で具体的な手法について教えてくれているのであるが、ステップ8で語られているコピーライティングのテクニックは秀逸だ。すべてのマーケティングに応用できるだろう。
1.焦らせる
2.ROIを説明する
3.自尊心に訴える
4.しっかりと保証する
この4つだけであるが、このテクニックによって抜本的にダイレクトメールがぐっとくるものになるのではないか?本書の中では、この4つのテクニックに関連して具体的にどうすれば良いという細かい解説がある。
更にこの「究極のセールスレター シンプルだけど、一生役に立つ!お客様の心をわしづかみにするためのバイブル」には、22のセールスレターのサンプルが含まれている。日本ではユニークすぎるかも知れないと思ったが、昨今のバナー広告とそのランディングページを見ているとこの手法に近いもの(偶然かもしれないか)を見かける。こんな楽しいセールスレターをもらったら、思わず心が動いてしまうかもしれない。それだけもお買い得だ。
反応率を高めるセールスレターの基本構造
この本で特に目からうろこなのは、反応率はセンスではなく、設計によって高められると明確に示している点である。
1つのセールスレターの精度にこだわっている人もいるだろう。この本では、連続した(つまり、シリーズ化した)セールスレターの重要性についても述べている。この概念は非常に注目したい。1回のダイレクトメールを送って反応を見てということは皆考えていると思うが、連続させたダイレクトメールでたたみ込むというところまでは考えていなかった人が殆どであろう。
多くのマーケッターが犯す最大の誤りのひとつが、「1回限りの発送」しかしないことである。(本書P216)
セールスレターをただたくさん書くのではなく、連続したセールスレターを生み出すことこそが、私が若くして使い切れないほどの大金を手に入れ、クライアントに何百万ドルと儲けさせた唯一のアイデアに他ならないからだ。(本書P217)
このように内容満載の本書。レスポンスマーケティング、ダイレクトマーケティングに関わっている人だけでなく、すべてのマーケッターにお勧めの本、それが「究極のセールスレター シンプルだけど、一生役に立つ!お客様の心をわしづかみにするためのバイブル」である。
どんな人におすすめできる本か
本書は、感覚やセンスに頼らず、反応率を高めるための構造や手順を学びたい人に特におすすめできる。言ってみれば特別な才能や経験がないマーケターにこそ向いている。
ダイレクトマーケティングやCRM、メールマーケティングに携わり、成果が数字で求められる立場の人にとって、本書が示す考え方は、現在のデジタル化が進んだ業務でもそのまま実務に応用しやすい。また、ランディングページやセールスコピーを改善したいマーケター、広告運用やコンテンツ制作を行う担当者にも有益である。
この本が向いていない人
本書は、セールスレターやダイレクトマーケティングの成果を、構造や設計として理解することを重視している。そのため、短時間で使える定型文や即効性のあるテンプレートだけを求めている人には向いていない。また、概念としてセールスレターを理解したい人にも向いていないだろう。本書は、戦うマーケッターの実践ガイドと言える。
■ 発売日
本書の原著「The Ultimate Sales Letter: Attract New Customers. Boost Your Sales」の初版は、1991年に発売された。著者は、アメリカのダイレクト・マーケティング界のグル、ダン・S・ケネディ氏だ。
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