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チームワークがうまくいかない本当の理由は「信頼」だった|名著『The Five Dysfunctions of a Team』で学ぶ

2013年10月21日

チーム内の雰囲気は悪くない。会議も荒れていない。それなのに、なぜか決断が遅く、責任の所在が曖昧で、成果につながらない。こうした状態に心当たりがあるなら、それは「人間関係の問題」ではなく「信頼の問題」かもしれない。

チームがうまく機能しないとき、多くの場合、その原因は人間関係が悪い、仲が良くないといった表面的な問題に帰着されがちだ。ただし、実際には仲が良いチームでも仕事になると結果が出ないということもある。そうなると解決の方向性を見失う。

パトリック・レンシオーニの名著「Five Dysfunctions of a Team(あなたのチームは機能していますか?)」が示す結論は信頼である。問題の出発点は、チーム内に「信頼があるようで、実は本当の意味では信頼し合えていない」状態が存在することにある。

この結果、表面的に仲が良い、悪いが関係なく、互いに弱みを見せられず、衝突を避け、責任を曖昧にしたまま仕事を進める。その積み重ねが、チームを静かに機能不全へと導いていく。

本記事では、この名著が明らかにした「チームが機能しない5つの原因」を整理し、なぜ信頼の欠如がすべての問題の起点になるのかを解説する。

チームが機能しない5つの原因とは?

この「あなたのチームは機能していますか?」では、架空の会社ITベンチャー企業、ディシジョンテックを舞台に、リーダーシップの欠如でCEOが解任されたのちに、一見、ITベンチャー企業に全くフィットしない57歳の女性のCEOが就任したところから始まる。しかし、彼女は、経営チームづくりの名手で、経営チームの辞職や解任を通しながら、経営チームを作っていくというビジネス小説が展開される。

小説という形式をとっているので、実際にどのようにチームを作っていくかの情景が目に浮かび、とても理解しやすい。もちろん、小説だけでなく、巻末にはそのチームワークを活性させる理論も細かく解説されている。理論では、チームが機能不全に陥る際には5つのポイントがあるとしている。

  1. 信頼の欠如
     メンバーが弱みや失敗をさらけ出せない状態では、健全な議論は生まれない。
  2. 衝突への恐怖
     対立を避ける文化は、一見穏やかだが、意思決定の質を著しく下げる。
  3. 責任感の不足
     十分な議論がないまま決まった方針には、当事者意識が生まれにくい。
  4. 説明責任の回避
     互いに指摘し合えないチームでは、成果に対する緊張感が失われる。
  5. 結果への無関心
     個人の成功が優先されると、チームとしての成果は後回しになる。

多くのリーダーが直感的に納得しやすい構造になっている。

読めば明日から信頼があるチームが築ける

巻末には、チェックリスト等の明日から使えるワークシート的なものも含まれているため、チーム作りに悩むリーダーには参考になる。内容も秀逸であるが、やっぱり、一番のおすすめポイントは小説という形式をとっているところ。すごく読みやすい。

原著のタイトルは「The Five Dysfunctions of a Team」であり、直訳すると「チームの5つの機能不全とは」ということになる。アメリカで2002年に発売された。日本語版は2003年が初版である。発売から20年近くもたっているが、その理論は全然色あせない。

著者 パトリック・レンシオーニ氏について

パトリック・レンシオーニは、この「あなたのチームは、機能してますか?」以外にも様々なテーマで、人・組織に関するビジネス書を書いている。そのほとんどが、非常に読みやすい小説の形式をとっていて、どれも非常に面白い。

実はアメリカで大ベストセラー作家

残念ながら、この「あなたのチームは、機能してますか?」をはじめとして、パトリック・レンシオーニの著書は、日本ではそんなに売れていない。

しかし、アメリカでは、この「The Five Dysfunctions of a Team」は、2002年の発売以来なんと2016年まで、毎年アマゾンドッコム(アメリカ版のアマゾン)のトップ100のベストセラーランキングに入るロングセラーのビジネス書である。

つまり、アメリカにおける、チーム作りに関するビジネス書としては圧倒的な著名度があるのだ。尚、このチームワークという意味で、一番売れた本は500万部が売れたといわれる「フィッシュ!―鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方」である。その次に売れたのが「あなたのチームは、機能してますか?」であり300万部と言われている(歴史的なビジネス書のベストセラー情報はこちらから)。

パトリック・レンシオーニ氏の本業は、組織と経営チームの強化育成を専門とするコンサルタントであり、自身のコンサルティング会社を経営している。オフィスは、アメリカのハイテク産業の中心地、サンフランシスコ近郊。氏は、自身のコンサルティング会社を立ち上げる前は、戦略コンサルティング会社ベイン・カンパニーや、シリコンバレーの大手IT企業のオラクルやサイベースで勤務してたとのこと。「あなたのチームは、機能してますか?」の舞台がハイテク企業であることもうなづける。

個人的には、アメリカでの知名度にくらべて、日本の知名度はそんな高くないことから、もっとパトリック・レンシオーニ氏、および、その著書は日本で注目されてもよいと考えている。

そこで「あなたのチームは、機能してますか?」以外のお勧めの著書を紹介すると
・会社のつまらない会議を面白くする「もしもハリウッド監督が会議を仕切ったら?
・マネジメントの基本を教えてくれる「なぜCEOの転進先が小さなレストランだったのか
は、ビジネス小説としても面白い業務にも参考になる。

是非とも読んでほしい著者である。

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リーダーシップは生まれつきのものではなく、学ぶことによって磨かれる。どうリーダーシップを取っていけばよいか分からないビジネスパーソンに向けて、必読の10冊をまとめた。あわせて参考にしてほしい。

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