「口コミがどのように広がるか?」この複雑な現象、口コミ(Buzz)を構造化して解説するのがこの本「クチコミはこうしてつくられる」である。
原題は「The Anatomy of Buzz」であり、直訳をすれば「口コミ(という生物)の解剖学」ということになる。この本では、口コミが計画的に適切に広がるように、ユーザーのネットワークをどのように考えていけばいいのかを論理的に、まさに解剖している。
また、テクニック論だけでなく、そもそも人々が前向きなコメントを残すに値する商品を持っている必要や口コミを起こすために誠実、正直、素直に口コミマーケティングを行っているかなど、小手先にはよらないまっとうなことも論じている。
また、パワーバー(アスリート向けの栄養補給食品)やアメリカでの高性能ヨーヨーの例など、実際にどのようにバズを起こしたかの事例の紹介もある。
この「クチコミはこうしてつくられる」で興味深いのは、広告を排除していない点だろう。口コミの発生には伝統的なタイプのマス広告は必要ないとしながらも、バズを後押しするような広告をつくり、「バズの発射台として利用する」ということを説いている。
いずれにしても、口コミは偶然の産物ではなく、活用できるマーケティング手法であるということを感じることができる。
■ 発売日
この「クチコミはこうしてつくられる―おもしろさが伝染するバズ・マーケティング」は、「The Anatomy of Buzz: How to Create Word of Mouth Marketing」として、2000年アメリカで発売された。アメリカでは2009年には改訂版も発売されている。著者は口コミ研究家のエマニュエル・ローゼン氏。
おすすめのマーケティング本 - 厳選ベストセラー10冊
幅広いトピックで構成されるマーケティング領域。その広大な領域を網羅的に学ぶための厳選10冊を紹介中。