ビジネス教養

成功へのアプローチの基本は小さく賭けること

投稿日:2013年10月27日 更新日:

本書の題は、「小さく儲けろ」ではなく「小さく賭けろ」である。

成功した企業は、「みんな小さく賭けて、素早い失敗、素早い学習をして、それが大きな成功につながっている」という様々な事例を紹介している。アマゾンピクサーの映画、ロサンゼルスのコンサートホールの設計、イラク戦争など多種多様な事例が紹介されている。

例えば、

クリス・ロック(9デイズなどにも出演しているアメリカの黒人コメンディアン兼俳優)は、スタンドアップコメディ(マイク一本で面白い話をする漫談のようなもの)を作る過程で、テストを行うために地元の小さなコメディー・クラブ(いわば劇場)に40回から50回出演する。

その際には、いろいろなネタを書いたメモを片手に、様々なネタを試していく。そして、そのほとんどが実際にはすべてってしまうらしい。しかし、その中で少ないながらもウケたものがある。そのウケたものを採用しそれをさらに磨きをかける。そうやって、ウケる話を作り、それを膨らまして本番とも言える大きな舞台やテレビに出ている

ということだ。

一流のコメディアンでもこのようなことをしているというのは非常に驚きだ。別の例で、人気のニュースパロディーサイトで、記事がウケる率を紹介しているが、ウケるのは約3%であるそうだ。

小さく賭けろ!では、大きな成功の可能性を発見し、実現に導くためには、創造的な方法で「小さな賭け」を繰り返すことが際まえて有効だという考え方を示している。小さな賭けとは、具体的かつ即座に実行可能な行動によってアイディアを発見し、テストし、発展させていくことの重要性を解いている。

特によくわからない状況では、このようなアイディアを時間をかけて、洗練させていくことによって、最終的な成功を生み出すことができるという。

とにかく、ビジネスマンとして組織に属していると失敗に対して恐怖感が出てくる。失敗は時間の無駄だということである。しかし、小さな賭け、実験を行っていかないと何が正しいかはよくわからない。誰もが、将来のことは予測できないのだ。つまり、小さな失敗なくして大きな成功はないということではないか。

その状況の中では、サラリーマンとしては、やはりこれが実験であるという宣言と、影響範囲をできるだけ少なくしておくのがいいだろうと私は考える。これは「大きな成功のための小さな賭けなのだ」という宣言をしておくということだ。

この考え方は、最近流行りのリーンスタートアップに通じる概念を豊富な事例を含めて紹介している「小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密」は、新しいことを始めようと考えている人に是非とも読んで欲しい本である。

■ 発売日
小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密」(原題、Littele Bets)は、2011年アメリカで発行された。著者は、ビジネスライターのピーター・シムズ(Peter Sims)氏である。

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