「ハーバード流ボス養成講座」とても刺激的なタイトルだ。
ハーバードビジネススクール関係者の著書の日本語版には特にハーバード流と付きやすい。ブランドに弱い(私も含めて)日本人向けにハーバードブランドを強調しているのかもしれない。
脱線してしまうが、このハーバード流というタイトルで日本でもっともベストセラーなビジネス書は「ハーバード流交渉術」であろう。この本は、交渉術の名著として知られている(書評はこちら)。そして、原題にはハーバード流ということは入っていない。
この本の原著のタイトルもハーバード流と入っておらず「Being the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader」であり、直訳すれば「ボスになる - 偉大なリーダーになるための3つの必須事項」ということになる。
この本は、原題にもあるように、リーダーシップに関して現実的な視点に立ち包括的に論じてた本である。
まず、この3つの必須事項を以下と定義している。
できるマネジャーの3つの課題
1.自分をマネジメントする
2.人脈をマネジメントする
3.チームをマネジメントする
(本書P58)
この本でも指摘するされていることであるが、多くのマネジャーは、マネジャーの仕事をチームをマネジメントすることと定義している(つまり、3つの目ポイントのみとして定義している)。しかし、この本では、それだけでなく、自分のマネジメント、組織での人脈のマネジメントの重要性も説いている。
また、この「ハーバード流ボス養成講座」を読んですっきりすることとの一つとして、マネジメントがなぜそもそも難しいのか?という点である。この本ではそれを
マネジメントの基本は逆説によって成り立つ
逆説がおおもとから解消されることはありえない
(本書P48)
と軽やかに解説している。
詳しくは本書を参照して欲しいが、「チーム全体と一人ひとりの部下に、どちらに焦点を合わせているか?(本書P51)」のように、反作用する2つの軸をバランスを取りながら判断しなくてはいけないのがマネジメントなのである。つまり、マネジメントには全てに通じるような正しい答えなどは存在しないのだ。
この「ハーバード流ボス養成講座」を読むことにより様々な視点から、自分のマネジメントスタイルを築く助けになるだろう。マネジメントに悩んでいないマネジャーはいないと思う。つまり、すべてのマネジャーにおすすめの本である。
■ 発売日
「ハーバード流ボス養成講座」の原著、「Being the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader」は、2011年に発売された。著者は、ハーバードビジネススクルール教授のリンダ・A・ヒル女史とケント・ラインバック氏。