組織・リーダーシップ論本

仕事ができる上司は部下を潰す? - 部下を無責任にしないためには?

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以下は会社でよく見るストーリーだ。

現場でバリバリと成績を出し、管理職になった。管理職でもその勢いでバリバリと仕事をこなしている。今はもっぱら、管理職として部下を育てようと懸命に支援している。

ピンチの際には何度も助けて、営業同行や会議での支援だって、断ったことがない。そして、成果が出た時には部下にも花を持たせてきた。

それなのに部下が全く育たない。その責任は全て自分にある。どんどん自分の時間がなくなりながらも懸命に部下を支援している。もう疲れきっているが、自分のチームだから部下を支援しなくてはならない。

それにしても最近、部下が全く元気が無い。励ましているのになぜだろうか?そして、自分もいつかは限界を迎えてしまうだろう。でも、業績は上がっていない。責任は自分にある、もっと頑張らなくては...

できる上司が燃え尽きる典型的なパターンだ。実際に、殆どの場合が燃え尽きてしまうだろう。そして、あの人は、出来る人だったけども、今回はうまく行かなかったよな、というのが周りの評価となる。

このような状況は、「責任感が強く出来るリーダー」という組織的には評価が高い人が起こしやすい。

このような状況に陥っている人は、今回紹介する「「頑張りすぎる人」が会社をダメにする―部下を無責任にしてしまう上司の法則―」を一読することをおすすめしたい。

この本では、まず「頑張りすぎた上司と頑張らない部下」(第1部 1のタイトルを引用)がなぜ起こるかを解説している。上司の責任過剰と部下の責任箇所は、実は相互作用していることなのだ。このコンセプトをすべての頑張りすぎた上司に理解してほしい。つまり、あなたが必要以上に頑張れば頑張るほど、部下が頑張らなくなっていくのだ。

これは、この「「頑張りすぎる人」が会社をダメにする―部下を無責任にしてしまう上司の法則―」の原著のタイトルにも現れている。原著のタイトルは「The Responsibility Virus」であり、これには「責任を取り過ぎることが良くないことである」という背景から、「責任ウィルス」と言うタイトルになっている。無責任ウィルスではなく、責任ウィルスなのだ。責任を取り過ぎることによることは悪なのだ。

「責任を取り過ぎる上司」の人はもう安心してほしい。単なる問題の解説だけではなくこの本では、しっかりとした解決策も用意されている。それは、以下の4つのツールだ。

第一のツールは、「選択決定プロセス」である。このツールはグループのメンバーが、ヒーロー型リーダーシップや言いなりのフォロワーシップに反射的に飛び込むのではなく、生産的に協調を促すためのものだ。

第二のツールは、「枠組み実験」である。責任過剰や無責任にはまり込んで不信感や誤解を抱いている者が、問題になっている相手と関係や強調能力の改善を助けるものである。

第三のツールは、「責任のハシゴ」である。部下や上司とともに責任を取る能力を構築し、上司が責任過剰になるのを防ぐ能力開発型のツールである。

第四のツールは、より生産的な「リーダーシップとフォロワーシップの再定義」である。リーダーとフォロワーが責任過剰/責任過小という極端な状態におちいるのを防ぐツールだ。(本書P26-P27より、一部抜粋)

詳しい内容は、本書を参照して欲しいが、この4つのツールにより、より適切な上司と部下の責任分担、チームにおけるより良い協調など、突出した人物に頼るのではなく、よりバランスのとれた組織づくりができることになる。

本書「「頑張りすぎる人」が会社をダメにする―部下を無責任にしてしまう上司の法則―」の最後に解説されているモデルケースでは、さまざまなビジネスシーンをカバーしているので参考になるだろう。そして、この「責任を取り過ぎるウィルス」は友人関係などの日常生活シーンでも起こるという。

親分肌の人で「友人が離れていく」と感じるのであれば是非とも読んでほしいのが本書である。

■ 発売日
本書「「頑張りすぎる人」が会社をダメにする―部下を無責任にしてしまう上司の法則―」は、「The Responsibility Virus」として2002年に発売された。著者は、ロジャー・マーティン氏。

ロジャー・マーティン氏は、ハーバードビジネススクールでMBAを取得後、1985年にあのマイケル・ポーター氏などが創設した戦略コンサルティング会社、モニター社に入社。1995年には共同社長に就任した。1998年から、カナダ、トロント大学ビジネススクール(Rotman School of Management)の学長を2013年まで務めた人物である。

主な著書として、2つの選択肢から1つを選ぶのではなく、その2つのバランスを取り斬新な解決策を見つける重要性を説いた「インテグレーティブ・シンキング」がある。

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