「みんなの意見」は案外正しいは、いわゆる集合知について語っている。
集合知とは、数多くの人々の意見を寄せ集めると、的確な答えを導き出すことができるということである。この本では、それを統計学的な観点から解説している。
この本が注目を浴びたのは、インターネットが発展し、集合知が実際に用いらているケースが多数出てきていることも背景にあるだろう。
例えば検索エンジンの検索順位判定アルゴリズムには、被リンク数(つまり、多くのサイトからリンクされるサイトは良いサイト)が考慮されている。これは、多くの人が参照しているサイトは有益なサイトだということで、まさに集合知の1つの使い方といえるだろう。
この本では、集合知がワークしない、つまり、「みんなの意見」は案外正しくない状況についても解説している。例えば、情報が一部分の人に寄っていて、その他の人々が正しい判断をできない時、また、そもそも数多くの人に与えられている情報が操作されている時などがその例だ。
原題は「The Wisdom of Crowds」であり、直訳すれば「群衆の知恵」となる。つまり、邦題である、「みんなの意見」は案外正しい とは大きくずれているが、この邦題の付け方はうまい。
というのも「集合知は絶対に正しい」でもなく、「集合知は意外に正しい」でもなく「集合知は案外正しい」のだ。
インターネット時代やビックデータ時代に重要となる考え方である集合知。是非、「みんなの意見」は案外正しいで勉強してほしい。
■ 発行日
原書の発行日は、2004年。日本では2006年に発行された。その後、2009年には文庫本も発売されお求めやすくなった。