経営戦略本

エクセレント・カンパニー - すごい企業の 条件をあぶり出す

エクセレント・カンパニー は、元マッキンゼーのコンサルタントであるトム・ピーターズ氏がかつて同僚であったロバート・ウォーターマン氏と書いた経営戦略本だ。現時点で、ガンガン販売されている現代経営戦略本の中では、最も古くレジェンドともいえる経営戦略本だ。

というのも、発行は今から遡ること30年以上前の1982年、最初の4年で300万部以上販売した*と言われる当時では規格外の大ヒットベストセラー経営戦略本である。

さらにロングセラー中のロングセラーでもあり、1997年の時点でOCLC (世界の図書館ネットワーク)の中で蔵書ランキングNo.1に輝いている(モノグラムエリア: モノグラムとは特定エリアの研究図書)。

コンセプトは膨大なリサーチを経て、素晴らしい(エクセレント)な企業(超優良企業)はどのような共通の条件があるのか? ということ解き明かすというものである。

このエクセレント・カンパニーは、30年ほど前のビジネス書であるので、当時栄華を誇ったエクセレントな企業と言われていても、デジタルエクイップメント、イーストマン・コダックなど、その後業績不振になった企業もある。その一方で、ウォールマートなど華々しく継続的に成長を遂げた企業もある。

もちろん、このビジネス書は、30年前に行われた分析によって優良と言われた企業が今も優良であり続けることを保証した訳ではない。それは無理であろう。というのも、優良な企業と言えども、経営者の変更や戦略の変更など、エクセレント・カンパニーじゃなくなる可能性はいくつもある。

むしろ、この本で解き明かされているのは優良企業、つまり、エクセレント・カンパニーであるべき条件である。この本では、8つの基本的特質を挙げている。

1 行動の重視 どんどんやれ、ということである
2 顧客に密着する 超優良企業は、お得意様から学ぶ
3 自主性と企業家精神 革新的な企業は、社内に大勢のリーダーと創意ある社員をかかえている
4 ”ひと”を通じての生産性向上 超優良企業は、ごく末端にいる一般社員を、品質および生産性向上の源泉のように扱っている
5 価値観に基づく実践 組織体の持つべき基本的考え方は企業業績とつながっている
6 基軸からは離れない 自分たちが熟知している業種にある程度固守する企業が、卓越した業績を上げていることが多い
7 単純な組織・小さな本社 管理者層が薄く、本社管理部門が小さい
8 厳しさと緩やかさの両面を同時に持つ 超優良企業は中央集権と権力分散(分権)の両面を兼ね備えている。
(本書P50ページからP54から抜粋)

それぞれの詳しい内容は、「エクセレント・カンパニー」を参照してほしい。本書の中では実際にどのようにしてこのような特性を構築していっているのかまで詳しく踏み込んで考察がなされている。まさに読むべき経営戦略書だ。

これは余談だが、日本人として感じるのは、30年ほど前のアメリカでは、日本企業が本当の脅威であったということ。エクセレント・カンパニーなかで、今とは別次元な競争力を誇る日本企業を感じることができる。これだけは30年という歴史は感じてしまう。

40年たっても、ベースとなるエクセレント・カンパニーの条件はそう大きくは変わらないだろう。おすすめの名著である。

■ 発売日
エクセレント・カンパニー」の原書、「In Search of Excellence: Lessons from America's Best-Run Companies」は、1982年に発売された。タイトルを直訳すれば「卓越した企業を探し求めて - アメリカの優良企業からの学習」といったことになるだろうか。

著者は、世界的な戦略コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルタントであった、トム・ピーターズ氏とロバート・ウォータマン氏。日本語版の翻訳者は、同じくマッキンゼー・アンド・カンパニーで重職を勤めた、日本を代表するコンサルタント、そして、ベストセラービジネス本著者である大前研一氏(代表作は「企業参謀」であろう)。

* http://en.wikipedia.org/wiki/In_Search_of_Excellenceより
** https://www.oclc.org/research/top1000/monographs97.htmlより

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