2010年代初版 組織・リーダーシップ論

悪いヤツが出世する!?

投稿日:2017年9月18日 更新日:

悪いヤツほど出世する。そういわれてしまえば元も子もない話である。そして、みんながうすうす、そう感じているのではないか?

悪いヤツほど出世するでは、そのうすうす感じていたものに冷静な結論を導き出している。つまり、理論的になぜ、悪いヤツほど出世するのかを理論的に解説しているのだる。

本書の帯には、ジョブス(元アップルの経営者)も、ゲイツ(元マイクロソフトの経営者)も、ウェルチ(元GEの経営者)も、みんな「いい人」ではなかった!と踊っている。もちろん、この3人が素晴らしいビジネスリーダーであることは間違いないだろう。大企業を作り上げたカリスマである。つまり、良いビジネスリーダーは、いい人ではないと定義される。そして、それはたぶん「悪いヤツ」なんだろう。

たとえば、スティーブ・ジョブス。あの巨大企業アップルを率い、ヒット商品を次々とヒットさせた経営のカリスマであるが(ジョブス就任以前は、あのアップルは経営不振に悩んでいた)、本書P274によると、筆者の同僚*1が、グーグルで「著名なCEOの名前+イヤなやつ」のAND検索をかけたときに圧倒的に1位になったそうだ。

そして、ビル・ゲイツ。ゲイツも、WindowsというOSで世界市場を席巻したが、そのOSについても、もともとはいろいろと議論がある取引をやったが、結局罰されなかったということで、信頼を踏みにじっても、リーダーは罰されないと結論づけている(本書P194)。

巧みな分析力で、これでもか、というほど、悪いヤツが出世する理由を理論的に解説する。ただ、自分の経験を踏まえた上で、うんざりする内容である。というのも、一般の私たちは、悪いやつにもなれないし、出世もしない。つまり、悪いヤツに一生、奉仕しないといけないのだ。

安心してほしい、この本の第8章のタイトルは「リーダー神話を捨て、真実に耐える」。つまり、では部下としてどうしたらいいのか?ということが解説されている。以下が、どうするべきかの本書で示されている6つのキーワードである。

1. こうであるべきだ(規範)とこうである(事実)を混同しない。
2. 他人の言葉ではなく行動を見る
3. ときには悪いこともしなければならない、と知る
4. 普遍的なアドバイスを求めない
5. 「白か黒か」で考えない
6. 許せども忘れず

詳しくは是非、本書を読んでほしいが、簡単にいえば、「リーダーに理想を追い求めず、部下として大人になる」ということか。いずれにしても、悪いヤツほど出世することは避けられないので、凡人として本書を読んで対応するしかないだろう。

■ 発売日
悪いヤツほど出世する」の原書である「Leadership BS: Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time」は、2015年に発売された。

著者は、スタンフォーフォード大学ビジネススクール教授、ジェフリー・フェファー氏。ジェフリー・フェファー氏は、組織行動学の専門家であり、「実行力不全 なぜ知識を行動に活かせないのか」では、わかっていても実行できない組織の問題点と処方箋を示すなど、組織の不都合な部分に切り込む専門家である。

綺麗事が嫌いな人は是非ともチェックしておくべき筆者である。

*1 筆者の同僚とは、ロバート・I・サットン氏。氏は、「あなたの職場のイヤな奴」の筆者である。この本では、職場にいるイヤなヤツの生態と対処法を解説した名著である。

-2010年代初版, 組織・リーダーシップ論

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